| City104|>City104発明家コラム「ケンジースプーン」
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Vol.1 「ケンジースプーン」

City104発明家コラムの第一回目は、「ケンジースプーン」の加藤筧治(かとうけんじ)さん。
加藤さんは北海道旭川のご出身。そこでの様々な経験が、のちに「ケンジースプーン」を生む原動力になっています。
さて、「ケンジースプーン」誕生の秘密とは??
Vol.1 「ケンジースプーン」 加藤筧治(かとうけんじ)さん

当時の私は妻子を旭川に置いての寮暮らし。
北海道は北緯45度、北見枝幸町。私は「枝幸営林署」で始まって以来の珍事、内勤を嫌って造林作業員を輸送するマイクロバスの運転手になった。

ここで使った弁当箱は保温式ランチジヤー。先がフォーク状になった付属の先割れスプーンで食べていました。
筒状の容器に入ったご飯は掬えない。漬け物・海苔の佃煮・塩辛・梅干。全てに苦労した。 刺さらず、すくえず、つまめず。なんの役にも立たない。そして落してしまうこの使いずらさ。

その頃(社)発明学会の会長でもあった豊沢豐雄さんの「小発明 ヒントと生かし方」に出会った。これが刺激になり、一生に一度でよいから「自分の名前の付いた発明品を世に出したい」と思うようになりました。

先割れスプーンは食べ難い、あるとき、足して2で割った道具はないか、そうだ「ピカッ」と閃いた。
「いっそのことスプーンを二つに割ってフオーク、スプーンと箸の機能を一つに」。

夕方、帰るや早速金ノコで分断、それをピンセットの先に。これが中々難しい。スプーンを万力で押えても細い柄までは真直ぐにカット出来ない。

六畳一間に、万力、金ノコ、ヤスリ、ハンダの道具を所狭しと置いて改良と失敗を重ね、一時は町の商店からピンセットとスプーンが払底する事態となりました。
意外と時間がかかったのは「食物落下防止機能」の改良です。ギザギザを付けてみたり、穴を2〜3個交互に開けたり。
かれこれ半年経ってから直径2.5〜3mm程度の穴1個が最適と分りました。フック効果で落さない。これが1番。
このようにして、箸、スプーン、フォークに次ぐ「第四の食器具」が誕生したのです。

いろいろと試食してみた。はしでつかみにくいイカ刺しこれもOK。逃げて苦労するカレーライスの最後これもOK。福神漬けもOK。とりにくい、こげついたジンギスカンの肉もOK。細くて取りずらいキャベツの千切りもOK。滑ってつかみずらい蒟蒻もOK。

どれも簡単につかみ、すくえる。ラーメンもOK。米粒も簡単に載せられる。(つまむ、ではなく新機能「のせる」 が誕生)。豆腐もスライス出来る。崩さずに食べられる。イチゴのヘタ取りもワンタッチでOK。ピタリ合わせると、スプーンとしての効果はもちろんです。

早速東京発明研究会の発明発表会に飛び入り参加。そして壇上にて発表。試作品3本を参加者に配付。実際に手に取ってもらいました。会場のあちこちでカチカチ...。最後に参加者全員での投票は「満票」。堂々のトップ賞を受賞。

私は商品化のため一念発起、退職し独立、その後、悪徳業者に苦労させられながら、紆余曲折のすえに完成。日本はもとより、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、中国の特許取得。ついに、私の名がついた品「ケンジー」が世に羽ばたくことになりました。


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