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| City104|> 中東・北アフリカ地域の宗教と文化 >vol.13 |
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久山宗彦 (くやま むねひこ)
1939年 京都府生まれ。
東北大学大学院修了。ハワイ・イオンド大学名誉博士。 1976〜78年
カイロ大学文学部日本学科客員教授。法政大学教授, 星美学園短期大学長を経て、現在、カリタス女子短期大学学長。法政大学講師。元「イラクの子供たちを救う会」代表。 新共著に「イスラム教徒とキリスト教徒の対話」(北樹出版)がある。
「日本・中東アフリカ文化経済交流会」(JMACES)会長。
日本イラク文化経済協力会規約(NICE Society)会長。 |
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中東・北アフリカ地域の宗教と文化
第13回 『サウディアラビアと日本の文化交流』(その3)
−サウディアラビア− |
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キング・サウード大学言語翻訳学部は元々、同大学文学部内の言語翻訳学科であったが、教育大臣がサウード大学を訪問した折り、かれは学生たちの要望を聞いて、1995年、学科は学部に昇格することになった。サウディアラビアは次代を担う若者の多い国であるから、大学でのかれらの望みは取り上げてもらいやすいのだそうだ。
言語翻訳学部はヨーロッパ、アジア、アフリカの各言語翻訳学科に別れているが、日本語科は勿論、ウルドゥー・トルコ・中国・ペルシァ・ヘブライの各言語と共にアジア言語翻訳学科内にある。ちなみに、アフリカ言語翻訳学科にはスワヒリ語やアフリカ西部で使われているハウサ語(Hausa)が用意されている。ところで言語翻訳学部棟は私がこの大学を訪問した時には、既に完成間近であった。
前回の小文で記した日本語科主任のDr. カラム・ハリール氏は、サウディアラビアは乾燥気候であるから冬でも水分を充分とるように、と配慮ある忠告をしてくれる。カラム氏の研究室でコーヒーを頂いた後、まずはアジア言語翻訳学科長のDr. タラール・ビン・ムハンマド・アッシャアバーン氏にお会いした。この方をはじめトップは皆サウディアラビア人である。タラール氏は考古学が専門でサウディアラビアの文化遺産に関わって大いに貢献しておられ、キング・サウード大学発掘チームのリーダーでもある。先生は人間味のあるお人柄で、数時間後に案内して下さったサウード大学博物館では、イスラーム以前の時代の遺跡から発掘されたAl-Faoの碑文や、マッカ(メッカ)・マディーナ(メジナ)・イラク・ペルシァを結ぶ中継地のRabdhahの出土品について、私に実に情熱的に解説して下さった。
学部長にはDr. タラール、Dr. カラムをはじめ、日本語科の全スタッフも一緒にお会いするということで、Dr. シハーブや岩元・中村両先生もさきにカラム氏の研究室に顔を出して下さった。目下、日本語科で学ぶサウディアラビア人学生は25名と少数だが、ここのシステムは入学時から卒業までは七段階のレベルに別れていて、脱落したり転部転科を考える者以外は、一つ一つのレベルをクリアしながら上がっていくのである。日本語科の学生は入学時には全部で45名であったそうだが、今いる25人が次の段階に進む時には20名ほどになるでしょう、と岩元先生は話しておられた。スタッフ全員が認める努力する優秀な学生は目下のところ2名だそうである。
Dr. シハーブの話によると、サウディアラビアの学生は一般に自宅や寮で勉強する習慣はないようで、勉強は大学でのみやればよいという姿勢を卒業しないのが悩みの種だという。更にまた、各段階の途中で仕事に興味を持つようになって、大学から去っていく者もちらほらいるが、しかしかれらのかなりは何年か後には復学するので、実力の後戻りした学生に配慮しながら授業をすすめていくことはなかなか難しいようである。
Dr. タラールの案内で言語翻訳学部長、アブダッラー・ビン・H・ホミーダーン先生と約束の10時に再会した。実はホミーダーン先生は私がまだ法大教授であった10年ほど前に、外務省中近東課スタッフの案内で私を法政大学に訪ねて下さり、当時はキング・サウード大学Institute of Languages and Translation(ILT)の長であったが、かれは「今後出来るだけ早く日本語コースと中国語コースをつくりたいのですが、優秀な日本語スタッフ探しに協力してくれませんか」と言われた。その時、私は躊躇することなく、カイロ大学文学部日本学科スタッフの中心的存在、筑波大学で文学博士号を取得したカラム・ハリール氏をホミーダーン先生に推薦させていただいた。キング・サウード大学日本語科は後に国際交流基金の日本語スタッフ派遣削減の姿勢とも大いに関係して苦境に立たされた時もあったそうだが、エジプト人・日本人スタッフが共によく頑張って盛り返し、既に日本にやってきて活躍する卒業生を輩出するまでになっている。
そのうちの一人、ムハンマド・アルジャンドゥール氏は東京のサウディアラビア大使館で広報の仕事を担当しているが、法政大学大学院社会科学研究科(政治学専攻)で研究もはじめている。また、既述したリヤードのイマーム・ムハンマド・イブン・サウード・イスラーム大学の日本分校、アラブ・イスラーム学院で秘書の仕事をしているムハンマド・A・アッシュメムリー氏は、学習院大学大学院で研究をはじめる予定であるし、同じくサウード大学卒業生のなかには東京外国語大学で勉強中の者もいる。
つづく
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※久山先生は「イラクの子供たちを救う会(平成11年8月13日に目的を達成し解散)」の代表として約10年間に渡り先頭に立ってNGO活動を推進されました。現在は、日本と中東アフリカ地域の関わりに関心をもつ内外の人々の交流を図る「日本・中東アフリカ文化経済交流会」(JMACES)を設立、毎月1回講演会を行います。 |
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